煙突の力学

少し前、父に相談されたことである。

僕の実家には父の自慢の手作り薪ストーブがあり、これのおかげで冬はいつも暖かなのだが、今春からのシーズンオフ中に煙突の改造をしたいとのことだった。

以前、父は友人の薪ストーブを見に行ったことがあり、その新しい薪ストーブの空気取入口の"吸い込み"性能に驚いたのだという。話によると、煙突の外壁に断熱処理を施しているとのことだった。

煙突は、燃焼室から煙突内部にかけて高温による浮力の上昇気流(ドラフト)によって"吸い込み"の効果を生み出す。(これを"煙突効果"という。)当然、煙突の外壁が断熱処理されて、内部の高温が維持できていれば、上昇気流も強く、高い煙突効果(吸い込み効果)を期待できる。父の相談とは、どんな煙突を作るのが一番"効果的"か?ということだった。

僕は、ただのSEである。機械屋ではなのだが。父がこんな相談をしてきたのは、十云年前大学で流体を習っていたからであった。といってもかじった程度である。ずぶの素人だ。なんて言い訳を思い浮かべつつ、素人なりに簡単ながら調べてみることにした。素人なので、厳密な煙突設計をするつもりはない。ざっくり、どんなものなのかっているのがわかればいいという軽い気持ち。


次回につづく。