煙突の力学 その1

というわけで、煙突効果の基礎的なお話から。
"煙突効果"は、(煙突効果 - Wikipedia)要するに煙突中と外気の温度差による空気の密度差が負圧となって生じる流れである。英語版のwikiを調べると"Stack effect"とあって、この負圧の圧力差の式が載っている。
\Delta P =\; C\, a\; h\; \bigg(\frac {1}{T_o} - \frac {1}{T_i}\bigg)
・ΔP :圧力差(Pa)
・C : 0.0342
・a : 大気圧(Pa)
・h : 煙突の長さ(m)
・To: 外気の絶対温度(K)
・Ti: 煙突内の絶対温度(K) (※ここでは煙突内の温度を一様としている)
この式自体は、一般に静力学平衡を仮定した、大気の層厚の式:
\Delta P = \, -\rho \, g  \, \Delta \, z
・ΔP :Δz間の圧力差、g:重力加速度、\rho\,=\,P / RT:大気密度、Δz:高度差
から近似的に導出できる。*1(C = g/R)


このままでは煙突の"吸い込み量"までは計算できていないので、同じ記事の次式:
Q = C\; A\; \sqrt {2\;g\;h\;\frac{T_i - T_o}{T_i}}
で吸い込み量(流速は Q/A)を近似的に算出している。

次回に続く。

*1:※若干トリッキーなのは、"a:大気圧"の扱い。数学的に正確に解くのであれば、圧力を変数分離してP(h)=exp(gh/RT)として差をとるべきところ、大気圧の差分をざっくり一定で近似している。これはx≒0の場合の exp(x)≒(1+x)を利用している。