禅とオートバイ修理技術
先週はオートバイの写真を載せたので、以下の本を紹介。
- 作者: ロバート・M.パーシグ,Robert M. Pirsig,五十嵐美克
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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記憶を失った大学講師の著者が息子とオートバイに乗りながら旅をしつつ、哲学についてを語るというノンフィクション。
一人で車を運転していたり、オートバイに乗っているとき、特に車通りが少なくて、リラックスして運転ができている状態に入ると、本当は危険なことかもしれないが、運転とはまったく別の、いろいろな思考が頭を駆け巡ることってある。くだらない冗談めいた話の場合もあれば、世の理や科学的問題について少し考えてみたり、過去の経験の反省とそれに対する新しい見解に思い悩んだりすることもある。本書の成り立ち、構成はこの感覚と同じなのではないかと思う。
物語は息子や仲間と共にツーリングしながら、まずオートバイの修理に関することから始まり、どんどんと思想を深化させていく。と同時に自分の記憶喪失についても迫っていく。
古典的/ロマン的の二元論から"説明書"の意義を経て、価値(クオリティ)の一元論に達し、さらにはポアンカレ、アリストテレス、ソクラテス、"アレテー"など言及...(到底僕には説明できません) 非常に中身の濃い哲学的な内容ながら、所々で旅での体験や息子とのやり取りがあって面白く読めた。色々な事件を経ての結末は曖昧だが爽やかな感じ。しかし、その後発生する事実は重い。
僕もいつか息子とオートバイで旅をしてみたくなった。
引用メモ(原文のままにあらず)
クオリティが万物の根源で本質。クオリティとは有機体が示す環境への反応。
"アレテー"(≒徳)...人生の全体あるいは統一性に対する敬意。特殊化を嫌う、能率・効率に軽蔑の意。
非常に考えさせられる。
前者は価値が発生する境界について。後者は自身の人生の反省として...